水道水の一般細菌が基準値オーバー!残留塩素の必要性

イベントホールの水道水の水質検査を行ったところ、一般細菌が基準値をオーバーしていた。

受水槽の水の入替を行い、再検査をしましたが結果は不適合となりました。
給水配管の除菌洗浄を提案し、その後の検査では無事に適合となりました。

事例詳細

状況

新築のイベントホールで初回の水質検査を行ったところ、一般細菌が1500個/mlが検出され、不適合となりました。その後、受水槽の水の入れ替えをして再度検査をしましたが、また一般細菌が基準値オーバーとなり、不適合となりました。
※1回目、2回目の検査時の残留塩素濃度は検出されませんでした。
※【水道法 一般細菌 基準値 100個/ml以下】

作業内容

2回目の水質検査でも不適合となったため、配管内に菌の発生が疑われ、給水配管の除菌洗浄を提案しました。
洗浄後の水質検査結果では無事に適合となりました。

解決のポイント

受水槽の大きさに対して水道水の使用量が少ないと、受水槽の水が長時間滞留し、さらに塩素が槽内で揮発することで、蛇口から出る水道水中の残留塩素濃度が少なくなることがあります。
水道水中の塩素濃度が十分でないと、菌が増殖して、検査項目の一般細菌が基準値をオーバーする危険性があります。

【水道法 一般細菌 基準値 100個/ml以下】
【建築物衛生法 遊離残留塩素含有率0.1ppm以上保持(直結給水を除く)】

今回の現場では受水槽の水の入れ替えを行っても、一般細菌の数値が基準値を超えていました。受水槽から先の給水配管内で菌の増殖が起きたと考えられます。今回は高濃度の塩素50ppmの塩素を使用する配管洗浄を行いました。洗浄後の水質検査では無事に適合となりました。

 

塩素とはどんなもの?

殺菌効力のある塩素系薬剤を有効塩素といい、殺菌や分解してもなお水中に残留している有効塩素を残留塩素といいます。
普段私たちが口にする、水道水の塩素とは残留塩素を指します。
残留塩素の種類には遊離残留塩素と結合残留塩素の2種類があります。

遊離残留塩素・・・・次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム 結合残留塩素・・・・モノクロラミン、ジクロラミン、トリクロラミン

結合残留塩素とは、遊離残留塩素とアンモニアが結合して生成される物質です。
殺菌作用は遊離残留塩素のほうが高いですが、残留性は結合残留塩素のほうが高いとされています。

殺菌力 基準値
遊離残留塩素 強い 0.1 mg/L 以上
結合残留塩素 弱い 0.4 mg/L 以上

※水道法施行規則第17条(衛生上必要な措置)より
(ただし、周囲の環境状態により基準値が異なることがあります。)

消毒剤の効果

次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムは消毒効率が高いうえ、残留性が高く末端まで安定して供給出来ることから使用されています。
これより、水道法では『水の消毒は塩素によることを基本とする』と定められており、その中でも国が水道水で使用を認めているのは、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、液化塩素です。

二酸化塩素※ クロラミン 次亜塩素酸塩 オゾン
消毒性 △※※
残留性 ×

※二酸化塩素は欧州で一般的に使われている塩素剤で、日本でも今後の使用が検討されています。
※※クロラミンの消毒性は次亜塩素酸塩より弱い

 

塩素添加の必要性

塩素添加は消毒された水を作る方法です。しかし添加すればするほど安全ということでもありません。

<塩素添加によるメリットとデメリット>
メリット・・・病原性の菌の感染力を失わせる
デメリット・・・塩素が人体に有害、トリハロメタンの形成、カルキ臭

日本は地下水を多用している欧州とは違い、湖や河川の水を水源として利用しています。
湖や河川には病原性微生物などの生物が多く存在しているため、浄水場で有害な物質を取り除き、最後に塩素によって消毒します。
ただし、塩素を添加することによって人体に対しての弊害が生じる恐れがあります。

● 塩素が人体に有害
必要以上に添加すれば、喘息が誘発される可能性があります。
しかし健康な状態であれば、気にする必要はほとんどありません。

● トリハロメタン(消毒副生成物)の形成
塩素添加から生成される消毒副生成物は、数分間煮沸すればなくなります。
同時に塩素も揮発してなくなってしまうので、カビや細菌の発生を考え、早めに使用することを推奨します。

● カルキ臭
カルキ臭は塩素が原因で発生するにおいなので、煮沸すればなくなります。

 

どのような測定方法があるの?

現在、当社で使用している測定方法としては、比色法を採用しています。

<比色法>
比色管にDPD試薬を入れ、検水を加えます。
色の変化を残留塩素標準比色列と比色して遊離残留塩素を求めます。
その比色管にヨウ化カリウムを加え、残留塩素を求めます。

残留塩素=結合残留塩素+遊離残留塩素

 

お問い合わせ

  • まずはお気軽にご相談ください。午前9:00~17:00(土日祝・年末年始除く)
  • 0663636330

サービス・事例検索

  • 検索対象コンテンツ: