他社にて偏光顕微鏡分析の結果より0.1~5%アスベスト含有していると報告を受けたが、この結果に疑問があるとのご相談
外壁仕上げ塗材はアスベスト含有判定が大変難しく、間違いやすい分析です。厚生労働省では、外壁仕上げ塗材など判定が難しい場合は、電子顕微鏡による判定を推奨しています。
事例詳細
状況
あるビルの施主様より解体業者から報告を受けた外壁仕上げ塗材のアスベスト含有分析結果について、偏光顕微鏡分析にて0.1~5%アスベスト含有ありとのことでした。解体工事をする際、アスベスト飛散防止対策が必要との判断でしたが、この分析結果に疑問があるとのご相談がありました。
作業内容
当社では外壁仕上げ塗材のアスベスト含有分析をXRD及び位相差・分散顕微鏡(偏光解析可)による判定、さらに電子顕微鏡SEM-EDXにて判定を行いました。
解決のポイント
外壁仕上げ塗材など繊維が確認されて偏光顕微鏡や位相差顕微鏡で判定が難しい場合は、厚生労働省では電子顕微鏡による判定を推奨しています。またXRDはアスベストの結晶構造を確認する分析方法として、スクリーニングを含めて大変有効な方法です。
下地調整塗材・下塗材・主材基層・主材模様・上塗材(骨材)が複雑に何層にも薄く重なる塗材に関して、実際の解体または改修工事において行う除去方法・剥離方法に応じて検体採取及び分析を行う必要があります。
労働基準監督署からの指導も厳しくなる中、外壁仕上げ塗材アスベスト含有分析が大変難しい、間違いやすい分析であることをご理解いただき、「判定がおかしい?」と疑問に思われた際はご相談ください。
今回の事例では、XRD及び位相差・分散顕微鏡(偏光解析可)による判定、さらに電子顕微鏡SEM-EDXによる判定を行いました。結果:含有なしと判定
※アスベストは建材の含有濃度0.1%以上で含有ありと判定されます。外壁仕上げ塗材に含まれるアスベスト繊維は、含有濃度も0.1~1%以下と低い濃度が多く、また繊維が短く判定が難しいことが現状です。